切れ長の目に生まれたかった
まーつん

見るものすべてが嫌になり、
瞼を閉ざす闇の中。
沈黙に勝る音楽はなく、
肌を刺す冷気よりも
痺れさせてくれる抱擁はない。

゛お前なんか゛と笑う眼差しの剃刀が、
 私という果実を切り刻む。
 鷲掴む自尊心から滴り落ちるジュースと、
 それを味わう汚れた舌。

錆ついていく月と、バスタブにかけた前腕の水滴。
毛布の中の密林と、瞼の裏に思い描く、砂丘に眠る剣。

靴の中で
曲りながら伸びていく爪が、
小さな花を咲かせる。

朝陽に眩んだ瞳が、
血の色に焦点を結ぶ。

切れ長の、
細い目に生まれたかった。

観たくないものばかりの、
世の中を前にして、

私の、大きな目は、
あらゆる汚れを愛してしまう。



自由詩 切れ長の目に生まれたかった Copyright まーつん 2024-03-10 23:08:22
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