夢十夜 ①
レタス

風の吹く草原で空を飛ぶ練習をしていた
ホップ ステップ ジャンプ
何回も繰り返すと
徐々に身体が浮かんで
やがて風に乗って飛べるようになった
風は涼しく清らかで頬をなでていく
それを餃子屋のおばちゃんに話すと
餃子を一枚余計にくれた
何枚も何枚も食べた
隣の席で
初恋の少女が長い髪を撫でながら
忘れかけた歌を歌っている
ぼくは少女に餃子食べませんか… 
少女は言った
こんな臭い物を食べたらキスができないと
ぼくは泣きながら餃子を食べた




             初出 日本WEB詩人会 2024/03/09


自由詩 夢十夜 ① Copyright レタス 2024-03-09 09:55:20
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