別れ
◇レキ

早朝 外は一面の霜

暖炉で部屋が温まるまでに出ていかなくちゃ

凍えた鉛筆を少しふるわせて
横になった君をスケッチ

しょうもない僕を好いてくれた君の
ため息は漂ってすぐ消えた

あまりに少なすぎる僕の荷物を
君は心配なんかせず
自分のために泣くんだね

小窓から見える切り株は
変わらず隆々と生を主張して
鳥に食べられてしまうだろうに
新芽を生やし始めている
もうすぐ春だよ、と

君の涙が僕を悪者にするまでに
部屋は温まってしまったよ
冷たい僕の指先で拭ってあげる

さようなら


自由詩 別れ Copyright ◇レキ 2024-03-09 06:34:26
notebook Home 戻る