墜落
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ヴェランダをはじめて見た時
その美しさが怖かった
風の流れがそこだけちがい
光あたりも微妙にちがう
犬がおなじ犬とは思えないくらく白い

あの、人工芝とはなんだろう
ガレージって一体なんだ
はじめて嗅いだ外人さんのあまいにおい
あかるい鳶色の瞳で
不意に口移されたセルロイドの秘密

手すりのむこうに雲があって
灰色のすき間に古城が見えて
空の果から呼ばれるうちに
飛べるはずもないと知っていたのに
もしかしたらと忘れてしまった





自由詩 墜落 Copyright soft_machine 2024-03-08 20:45:29
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