鳥の春
夏井椋也

三寒四温の山と谷を
喘ぎながら

自律神経と前髪を
弄ばれるまま

季節のせめぎ合いを
掻い潜り

遊歩道をふうわり漂うのも
それほど悪くない

視界の端に色を感じて
振り仰げば

薄紅色に膨らんだ梢で
はしゃぐ小鳥達

私も思わず立ち止まり
春をついばむ

何かが始まってしまいそうな
予感が嬉しくて

ありもしない私のくちばしが
少しだけ咲う




自由詩 鳥の春 Copyright 夏井椋也 2024-02-21 20:01:29
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