晴曇
あらい


花言葉は骨董品の、
作者不明の〝まだき〟にあるらしく
水平線のたまり場で
流行らないアドリブを繰り返す


やさしさレモンシトロンと
素材の文庫本をひらいた

『またね、けなげなカモメ』

ひとつまみのクラシックが空から降ってくる
雨ざらしの目盛りは意味がないラジオです


ふしぎな温かみのある部屋で
満月加工機能から、
炭酸の仮説を変換する
むしゃくしゃなタバコは
喜怒哀楽を浮かべた

レターサイズに閉じ込めた寝言があった
へそ曲がりな音楽は片隅でみにくい
つれづれなるドミノのパーセンテージは


つめたくて逆光 おもいでの水脈


満開の群青色がまた泣いていたね
青春とはオマージュを満たす夕映えの雲である 
砂時計ジェネレーションに焼き付いて
しまい、無限大ビスケットに焦がすばかり
読み手のない春夏秋冬、ひとり、資料館に置き去り

また、きよらかな時計台と滑り
まるで炎上アイスクリームをおとしたようです

たとえば いま

複雑な境界線上にあるマークシートメッセージ
手型衛星がいくつになっても眼帯を手放さず
むかしむかしあるところに放し飼いの羊を放った

杞憂の診断を手づかみできるほど
鈍痛に栄えたといっても



感傷的になってドアを閉めて
金木犀の風を聴いたアスファルト
手を掲げて木蓮の香りを乗せた道のりをおもった

透明な鍵をかけ忘れて、錆びた楔をこぼして
もぎ取られた椿にじゃあねと、かるく
やわらかくしずんだ桜、忘れられないよ

ふるえてしまうから

すりぬけるように めばえ さぐりあうころ


自由詩 晴曇 Copyright あらい 2024-02-20 19:45:02
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