リチャード氏の埋葬に関する余興(2013)
中田満帆





 リチャード氏は
 24時間営業の
 駐車場に
 掘られた
 穴のなかで
 からだを埋められてた
 レスターでのことさ
 その穴は
 忘れられてしまったけれども、
 つい先日掘り起こされた
 かれは至って正常だが
 ヘンリーやボズワーズと戦った1485年
 味方の裏切りによって、
 戦死したためにひどい人間不信に陥ってしまってたんだ
 かれのからだはやがて丸裸にされ
 かれの支持者たちに
 かれの存在を報せるよう曝され
 かれはいささか不機嫌だったらしい
 そしてお次はグレイフライヤーズにある、
 修道院に埋められた
 ということなんだ

 ことのはじまりはこうだった
 ジョー・アップルビーという骨学者がはじめに頭蓋骨を見つけた
 頭の傷をみながら、
 「スコップやなんかで傷がついただけかもしれねえ」
 「まだなんにもいえねえな」
 そうおもったという
 そして背骨を見つけようと探していたが、
 そこには腕と脚しかなかった。
 リチャード氏はせむしだったため、
 背骨のかたちが重要となるだろうな

 まったくべつの場所の作業員から
 「なにかある。みたほうがいい」
 そう声がかかった
 「いや、忙しいんだ」
 でもジョーは断った
 「でもかならずみたほうがいい」
 いってみればそこに布で包まれた残りのリチャード氏があった。
 そしてあきらかにせむしだった
 王の埋葬だというのに
 柩もなく白い布だけでかれは眠ってたんだ
 それってかなしいよね、三世さん
 ぼくはあんたのことをなにも知らないのに
 焦げてしまった鮭をみるたびにあんたのことをおもいだしてしまうんだ
 どうしてなんだろうか、まるっきり昔しの歌じゃないか
 でもこれでもう騒音に悩まずに済みますよ
 では
 
  追伸;

   リチャードさんへ、
   気に入った自動車はありましたか?
   なにが好きですか?
   ドライヴへいきませんか?
   それでは
   20代の日本人より 


自由詩 リチャード氏の埋葬に関する余興(2013) Copyright 中田満帆 2024-02-19 09:53:36
notebook Home 戻る  過去 未来