ムーンライダー
ミナト 螢

数え切れない唄を歌って
僕は月を目指す
憧れを抱いたままの日々に
許されながら

逃げる場所を探しに来たんだ
春の匂いの中
自分の本音より明るくて
羨ましくて

空が暗くなる頃
僕は海へ行こうと
不安定な気分を誘って
何を見ても嘘みたいだな

誰の手も届かないよ
それでも行こう
僕にしか掴めないの
この砂のように

自分らしく開けた引き出しは
宝物が似合う
ひとりで出掛けた思い出が
泣かないように

相変わらずふたりでいよう
同じ夢が見たい
こんな夜に浮かぶ答えなら
伝えたくなる

遠回りと知っていても
何故か会いたかったよ
理由なんて流れてしまった
海の中をただ潜るだけ

生まればかりのメロディ
沈まないように
五線譜の波を渡る
息が出来なくても

爪のような月の下で
繋がれるまで
濡れた唇は青く
共に夜を剥がす


自由詩 ムーンライダー Copyright ミナト 螢 2024-02-19 06:42:35
notebook Home 戻る