サクリファイス
atsuchan69

冨の神を崇める教義では、
あなたの身体と魂は誰よりも清く
その清い身体のために、
毎朝オレンジジュースを飲む

また、あなたの美貌のために
幼い夢を祭壇で屠り、鮮血を啜る

既に世界は、システム化されていた

裏路地で泣き叫ぶ、あなたの歓び
逃げ場のない恐怖がエキスとなって
無数の小瓶に詰められる
夢の欠片、錠剤の激しい歓び、、

伸びた脚で酷らしさを踏みつけ、
甘い香水の匂いとともに美しく微笑み
あなたの身体と魂は誰よりも清く
爆撃の痛みも、鏡の中では聴こえない

悲しみが積もるほど、魂は踊る
街が吹き飛ぶたびに欲望の神は狂喜した

艶やかさと、神聖な光を纏って
あなたの身体と魂は誰よりも清く
小瓶に詰まった幼い悲鳴を舌にのせて
オレンジジュースで喉へ流す

化粧台に映る姿は、人じゃない





 ◆初出 日本WEB詩人会 2024/02/13


自由詩 サクリファイス Copyright atsuchan69 2024-02-14 06:51:59
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