ハミング
たもつ



珍しい、わたしたち
口腔の匂いをさせながら
風の端っこ
挨拶をする
水平線の輪郭を越えて
乾燥した皮膚の入口と
遊園地の車線変更
家族のことになると
嘘をつく癖が
わたしたちにはあるから
間違えが無いように
指で数を数えて
新しく話し言葉を作った
春の草花を積んだ飛行船が
陥落した都市の上空に
ゆっくりと差し掛かった時
前傾姿勢のハミングで
懐かしい地面へと滑空していく
校庭の片隅に埋められた
平方根の傍らで
わたしたちが語っていたのは
愛の記憶だった気がする





(初出 R6.2.13 日本WEB詩人会)


自由詩 ハミング Copyright たもつ 2024-02-13 07:24:40
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