渦巻き迷路
そらの珊瑚
小さな小さなキミは
迷路遊びが好きだった
渦巻きの道を
ぐるぐる進む
勇敢な旅人
お気に入りの小さな雨靴で
ずんずん歩く
僻地で
草も花もない道だったけれど
ときおりバタークッキーの匂いがした
けれど
そのうち
疲れて眠ってしまうので
ゴールが用意されていたのかどうかは
わからずじまい
スマートフォンに飽きて
指紋の迷路をじっと見つめる
一日に数えきれぬほど
つるりとした画面の上を滑る
人差し指の腹の、
うず
模様
意味があるのかないのか
(あると素敵だけど)
どれだけ日常に酷使されても
そこだけ生まれたままの
たゆまぬ造形が在る