渦巻き迷路
そらの珊瑚

小さな小さなキミは
迷路遊びが好きだった
渦巻きの道を
ぐるぐる進む
勇敢な旅人
お気に入りの小さな雨靴で
ずんずん歩く
僻地で
草も花もない道だったけれど
ときおりバタークッキーの匂いがした
けれど
そのうち
疲れて眠ってしまうので
ゴールが用意されていたのかどうかは
わからずじまい

スマートフォンに飽きて
指紋の迷路をじっと見つめる
一日に数えきれぬほど
つるりとした画面の上を滑る
人差し指の腹の、
うず
模様
意味があるのかないのか
(あると素敵だけど)
どれだけ日常に酷使されても
そこだけ生まれたままの
たゆまぬ造形が在る


自由詩 渦巻き迷路 Copyright そらの珊瑚 2024-01-26 13:50:10
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