モノクロームの窓辺から
霜天

溶けるまで
眠れそうな遠くの日々が
溶けていくまで
深々と、動かない部屋で
指を折る
指を折る


ありきたりな言葉では
追いつけなくなりそうで
街灯がつくまでの時間を
静かに歩いた
あの頃の写真の縁で
笑い続ける人

そんなふうに繰り返されていた日々
連なった窓には
いくつも空が並んでいて
垂直に積み上げられた青を
いつだって見上げていた

覚えている
切れ切れの
スライドのように連続して
懐かしい人の声は
少しだけ、響かない


追いかけるなら
追いかけるだけ
白と黒とで塗りつぶされた
あの垂直の窓辺のあたりへ
指を折る、数える
あの日々が溶けるまで

記憶では、暮れていかない
積み上がる空に届くまで


自由詩 モノクロームの窓辺から Copyright 霜天 2005-05-17 17:06:40
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