空の割れた日
霜天
空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない
両手が空の方にあって
ほんの少し、重い
入道雲が空の天辺で
ぐらぐらと落ちそうなくらい
いっぱいに広がれば
両手を耳に当てて
逃げ出すくらいは
私にだって、出来た
のに
地球儀をはじく
からからと回り続けるものは、何も変わらない
私はここに落ちて
私はここに落ち着いて
もがいた両手がほんの少し重い
だけのこと
空の割れた日
耳を塞ぐための手は残っていなくて
パリンと音を立てた向こう側は
どうしようもないくらい
青だ