空の割れた日
霜天

空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない

両手が空の方にあって
ほんの少し、重い


入道雲が空の天辺で
ぐらぐらと落ちそうなくらい
いっぱいに広がれば
両手を耳に当てて
逃げ出すくらいは
私にだって、出来た
のに


地球儀をはじく
からからと回り続けるものは、何も変わらない
私はここに落ちて
私はここに落ち着いて
もがいた両手がほんの少し重い
だけのこと

空の割れた日
耳を塞ぐための手は残っていなくて
パリンと音を立てた向こう側は
どうしようもないくらい
青だ


自由詩 空の割れた日 Copyright 霜天 2005-05-17 17:05:10
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