不断の円舞曲
塔野夏子

illusion, delusion, hallucination
不断の悪夢
を見せたのは誰

     *

硬質な悲劇の突き刺さる胸
から流れる
見えない血

     *

映るのは
虚像 鏡像 (合わせ鏡に谺する声)
そして境界の融解

     *

不断の悪夢を見たのは
彼か我か
フィルター越しに夜が明ける

     *

脈打ちながら凍りゆく心臓
触れる 振れる 狂れる
翼の散乱

     *

虚像 鏡像 の乱反射
碧いdepersonalization
蒼いderealization

     *

幾重にも境界が融解し
けれど決して触れられない
フィルター越しのゼリーのような夜明け

     *

暗転
隘路にあふれる
見えない血

     *

踊っているのは
illusion, delusion, hallucination
刻一刻と凍りゆく心臓

     *

彼か我か
不断の悪夢を見せたのは
硬質な悲劇を胸に突き刺したまま

     *

乱反射するのは
散乱した翼
融解するそばから立ちあがる境界

     *

碧いdepersonalization
蒼いderealization
合わせ鏡に果てしない谺

     *

フィルター越しなら同じこと か?
catharsisも
catastropheも

     *

踊っているのは
ゼリーのような夜明けへの
insight, intuition, inspiration





自由詩 不断の円舞曲 Copyright 塔野夏子 2024-01-19 10:33:18
notebook Home 戻る  過去 未来