Armadillo
haniwa

中学生の君はいつもの帰り道を少しだけ変更して河原の砂利道を歩く
忘れていた土の感触を君は思いだす
そして君はコンクリートの斜面に友人たちの姿をみつける
君達は通学鞄を枕にして斜面に寢転び、あるいは立ち上がって水面に石を投げながら、人生について語る。

そこにぼくはいなかった
そしてもう二度と
いないままになった

ぼくもそこにいて
君と人生について話したかった
いつもと違う帰り道を通るような特別な放課後に
ぼくも君と出逢いたかった

ぼくも君ももう中学生じゃなくて
人生を語るには遅すぎる
あらゆることはぼくを通りすぎて行ってしまった

ぼくはひとりで河原にいく
ぼくたちが通った中学校からは何百キロも離れた河原だ
この国には無数の川が流れていて
ぼくはそれから逃げることができないでいる

もう遅すぎるのに
逃げることができないでいる


自由詩 Armadillo Copyright haniwa 2005-05-17 02:22:04
notebook Home 戻る