遊興
日々野いずる

人間ごときと
寂鬱が漂う鳥瞰
見渡した
人との間が詰まった人混みが
本棚に隙間がないのと同じ
居場所のような
詞のような
君がいられなかった後悔や
もっと素敵で飾れなかった後悔が
押してくる
みんな私たちのこと忘れるんだって
それを怨むのは私だけで
君は甚大に消えていて
うっすら漂う虚空の残滓
私の持つ薄霧
こうやって
君と私を忘れないでって
君の分も思っている
恨みがましくて慈愛の満ちた
君たちに会えない追悼が
私が
私が
私のためにしかやっていない
泣いて終わって
喪失感と貼った記憶の
なくなってしまえばいいのに

なくなってしまった
朝霧だ
夢と幸福の霞だ
薬と薬の幸福が呼ぶ
君と消える
遊んで
いったい何のために
遊んだの


自由詩 遊興 Copyright 日々野いずる 2023-12-27 01:03:23
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