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それはまだ人間に
人間としての利用価値があった頃のこと
あなたは読めない言葉で
愛が全てだと人間に伝えた

永遠に伝わらないとも
伝わらないことなどあり得ないとも
思えないから
どうでもよさそうに
今夜も月が昇るよと
猫背気味に時計を見ては呆れて
少し遅れてるなって
竜頭を弄る

家族の亡骸に埋もれながら
あなたは泣いた
自分が殺したことを知っていても
少しも後悔できなかったから
それが人間の悲しみなんだと思った
人間と呼ばれないことが
別段なんでもなかったと気付いた

鳥のからあげばかり食べていたことを
主人と誰かを認めることの幸福を、あるいはまた
正義の奴隷として身をやつす
というか
要するに俺はモテないんだよとゲラゲラ笑った
人間を見下さないあなたは
可笑しかった
正しさなんかどうでもいいと思っている
言葉を積み重ねれば積み重ねるだけ嘘になっていく
もっと愛の話がしたい
それはまだ私が神を許すことに
何の躊躇いもなかった頃

やめよう

会いたい

汚れた血で染まった醜い手を
丁寧に拭う
あなたの舌が好きになる


自由詩Copyright 303.com 2023-12-17 19:06:18
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