雨の銀杏並木
佐白光



 春風が優しく過ぎてゆく銀杏並木の散歩道

 木陰で静かにスケッチをしていた私に

 さりげなく声をかけてくれました

 見えないバリアを被っているつもりだったのに

 あなたには見えなかったんですね

 何気ない言葉を交わし

 過ぎ去るあなたの後ろ姿に

 私の目も心も奪われてしまったんです

 スケッチに出かける頻度が増えました

 気が付くと絵具の色も黄色だけになってしまいました

 あなたの後ろ姿が待ち遠しくて
 
 今日は雨の銀杏並木

 さみしさと悲しみも混じる通りの端に

 色づいた銀杏の葉が落ちています

 

 

 

 

 


自由詩 雨の銀杏並木 Copyright 佐白光 2023-12-16 10:37:19
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