gastronome 61-70
AB(なかほど)

 
ポカリスエットぐらいの朝
とぎ汁ぐらいの昼
赤ワインぐらいの濁った夜に
 
 
あなたにとってそれが詩であっても
台所のあなたのつぶやきの方がよほど詩的
日曜に寝っ転がってる僕にとっても
 
 
 
いつまでも紅いほっぺたのままではいられませんが
ずっと待ってる
って言ったけどそろそろひからびちゃいます
 
 
 
うたー の上の口は餅を食べる口
下の口は鬼を食べる口
その願いが世界中に届くといいね
 
 
 
うずくまる彼の悲しみの雨で
そうしてぬかるんだ彼の足跡に
種を蒔いてゆくのだ
 
 
 
鯵/秋刀魚 海鰻/甘鯛 団扇海老
沖潤目 鱓/石鯛 尾長黒
夕陽焼 鼻福/眼福 鱈腹途
 
 

南風原の米軍のゴミ捨て場でものを拾ってた
そのなかで、大きなチーズのかたまり
あのおいしさは忘れられない
 
 
 
うさんでえ候ら 親祖先ぬ
成したる此ぬ世ぬ むぬ想い愛さ
忘んなよ 忘んなよ
 
 
 
わたしの血となり肉となるもの
わたしの血と肉であったもの
なおらいこの世は現であったか夢であったか



コンプレッサーと虫の音、そんなことさえも
あの夜達の拠りどころだったと
今はもぐ人もいない実のように
風に乾いてゆく


   



自由詩 gastronome 61-70 Copyright AB(なかほど) 2023-12-05 19:33:34
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