gastronome 51-60
AB(なかほど)

 
ひとりで飲み屋に入る今日の幸せが
奴さんだったりトマトさんだったり
糠漬け様だったり
 
  
 
ラビのパンの話を覚えている
僕もポケットに
ときどきにぎっている気持ちがある
 
 

ひとつずつ酸っぱい思い出を口にして食べると
より甘く感じるけれど
三つめの思い出で泣いてしまいそう
 
 
 
ありふれた言葉でゼリイをつつくと
湿ったにおいの味がするので
特に大粒ブドウのゼリイは一心不乱に平らげる
 
  
 
あまり目にしない柄の缶を手にとる人の家には
けっこうなんでも受け入れる猫がいるのだろう
うちの子もそうだった
 
 
 
たましい はそこにあんのか
ゆっくり考えてみるわ
芋、たしかにいけるな
 


午前0時の昼ごはんに初めて食べたんは
天ぷらうどん、あれはうまかったわぁ
最後も それにしとくわ
 
 
 
先の台風のせいで田んぼの水が抜けずに
コンバインを入れられないとのんびりと
なんや儂らものぎへんのくにのひとやないか
 
 
 
ホッピー飲みながらどうでもいい話ばかり
けれど、世の中は変わり続けている
突破することを続けている
 
 
 
文学なんてなかったころの
哲学なんて呼ばないころの
ぎゅってしていたかっただけの
落ちたりんごを拾うように
 
 
 
 


自由詩 gastronome 51-60 Copyright AB(なかほど) 2023-12-04 19:17:56
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