めぐる季節にドライヴィン・ローリン・クリスマス
菊西 夕座
長年カーよいなれた湖畔のドライブインがゴールインしたというので、祝いにいった。
助手席には白樺がフロントガラスをくりぬいて座り、はやくも車を湖沼にみちびいた。
故障にしずむクラッシュカーに枯葉がおちて、すっかりクラシックカーの秋めいた装い。
岩ってやろうにもユキどまりといわれ、近くのドライブウィンターに花束をもって入った。
弧をえがく店内の席は雪でびっしり占められ、どのテーブルも雪客でいそがしそうだった。
カーテンだけが懐かしい夏みかん色で、かつての暇なドライブインであると告げていた。
すぐさまカー店のまるっこい穴に花束をねじこみ、おめでとうといって抱きしめる回転。
窓枠からちぎれたカー店はロールしながらわたしを包み、そのままタイヤになって走った。
新妻のウィンターは凍りついたフローリングで容赦なくタイヤをすべらせ歓迎してくれた。
狂喜のドライブインは愛にまみれた純白の床を高速でめぐる季節のようにローリングした。
そのうちに磨きぬかれた氷の表面をスリップして窓をつきやぶり店の外へとダイブイン。
湖沼にずぶずぶとしずみこむ車にゴールインして春がくるまでカー店にくるまろうとした。
春が車で待てなかった相棒は白樺の罪をモミけすかわりにクリスマスツリーにしたてると、
カーテンの穴からワカサギでも釣らせるように店頭に吊らせてぴっかぴカーに飾り立てた。
自由詩
めぐる季節にドライヴィン・ローリン・クリスマス
Copyright
菊西 夕座
2023-11-26 23:11:47