さくら
リリー

 三分咲の桜が好き
 と云う私に
 葉桜が一番好き
 と 笑った彼女

 「なんで?」
 ほのぼの香る色にも
 一閃の青をみる
 硬質感ただよう清らかさ

 まだ未婚だった彼女は答える
 「あの、赤い軸が見えてるのがいいねん。」
 若葉と花軸の色が織りまざって
 溢れる生命力

 それは未来を予知したような
 胸に残る 女同士のたわいない対話
 
 彼女は男児二人抱えて離婚し
 女手ひとつ稼ぎ育てる
 冬の さくらを経て
 葉桜となった
 
 


自由詩 さくら Copyright リリー 2023-11-26 10:29:14
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