認められたいわけじゃないよ
武下愛

振り返った時に何もないんじゃなくて
皆居てくれる事が全てだよ
伝える事が全てでは無いから飲み込んだ
その度に締め付けられる

私の過ちは許してきたこと
許さないことを自分には課して
他者を許すことをして
手放してしまったことが
反対に回る時計のように
締め付けを増やしていく

誰かに必要とされることが存在意義だと思ってた

私はどうしても叶わないことに手を伸ばせなくて
壊してしまうのではないかという事ばかり考えてしまう

耐えきれなくて
何度か壊してしまった事が
メビウスの輪のまま
締め付けを増やしていく

それでも良いと言えることは
何も言わずに居ることでしかなくって

言葉にしたら壊れてしまうから
涙を流したくなくて
流れてしまってほしくなくて
手も伸ばせない?
手を伸ばしてはいけない

だからひっそりとしてるんだよ

誰から見ても明るく見える自分は
誰にも影を見せていないだけで
私は誰よりも闇だと自身だけが知っている

悩みがなさそうだよねって言われても笑って
悩みがないことが悩みですって言って

本当は消えてしまいたい気持ちもあるんだ
誰にも迷惑かけずに消えられたらって
もう生きてきてずっと思ってるの

助けてなんて言えない
助けた結果失われる事を
考えてしまうから
失声になるしかないんだ

自分はふさわしくない
壊してしまうくらいなら
傍にあることだけで満足だよ

失えばかえらない
かえらなければ
失った事だけが残って
傷ばかりが増える

呼吸が少しずつ止まりそうになって
うまく息ができないことがある
体が冷えて仕方ないこともある

誰にも言えない
何も伝えられない

存在するという事を理解したら
表現者であると同時に私は人なんだよ
誰にも気づかれないまま

そっとキャンドルを消すように
キャンドルの火は凍ってしまった

情熱は燃えるだけでは
決してないという証を
ここに記します


自由詩 認められたいわけじゃないよ Copyright 武下愛 2023-11-12 23:45:41
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