sayonara.com 21-30
AB(なかほど)


なぜでしょうか
思い出、記憶、面影、全てが鮮明に
と思った瞬間、全てが朧げに



帰りのカフェで君を思い出した
つまり 
それも かげろう



走り出すと「春ですね」って言って
消えていったあの微笑みのように
夕映えのなかへ ふわり



うみほたるはほたるじゃない
うみほたるは魂じゃない
そのほたるも海には帰れない



いくつもの空を渡って
うたが君の心へ届いたなら
最後の頁は白



誰かさんが見つけた幸せの花匂う頃
北の森では最後の吐息が
ちっちゃいまるで おわり



そちらは晴れていますか
君のお母さんにも この頃ようやく
晴れ間の見える日があるようです



みちたりの実をつけた木の下は
誘いの色と君の匂いに満ちていて
とても佇んでなんかいられない



見上げれば、立ち止まれば、振り向けば、
うつむけば、ほら、ゆうううつ
とんぼかげろうこおろぎ彼岸花



おばぁはわろてた
ほんならきばりや
これからはあんたらの時代やて
あのしわしわずるいわ




   


自由詩 sayonara.com 21-30 Copyright AB(なかほど) 2023-11-04 15:26:51
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