生の色
あさみ

 かた かたん。

取り付けの悪い、古びた窓を開けると、
鮮やかな色が目に飛び込んできたものだから。

 かたん

すっと、手を伸ばして
触れようとして 気づいたこと。

 かたん か たん

白い、白い、指、手、腕。
強い 風が吹いて

 がたん。

嗚呼
もう 春なのだ。

色を失った指を、花弁に伸ばした。
可憐な紅い花は、白い指に乗り、


 がた がた がたん


一層強く吹いた 風に乗り、

 がたん がたん

踊るように 舞い去っていった。
白い指は 宙を泳ぎ 
紅い花は もう いない

 がたん がたん

嗚呼
この音は
私から全ての色を連れ去っていったのだ。

 停車駅は どこだろうか。



自由詩 生の色 Copyright あさみ 2005-05-15 08:34:51
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