バルコニーのテントと水泳
番田 

賃貸の部屋のベランダがバルコニータイプなので、雨よけのために屋根を設置した。ネットで探し出した簡易テントだ。夏も終わったが、秋なので良い運動になるのではと考えたので、それを設置するためのアクションを起こしたのだがかなりハードだった。先ず支柱に入れるためのビスが何本かあり、それを入れた。しかし、それは、固かった。自転車用の工具セットを買っていなかったら恐らく完成はできなかっただろうと思う。そんなことを思いながら、夜風に吹かれている。公園の方から人の声が聞こえたような気がした。今朝はそこから微かにセミの声がしていた。夏の間は大量のセミの声がしていて眠れなかったほどだ。しかし今はセミではなく鈴虫の声だけがしている。その声も途絶えた時冬が来るのだろうかと思っていた。駅前にはいくつかの飲食店があったのだがまだ行ったことのない店が多かった。ラーメン屋ばかりが多いというのがある。もしくはすこしだけ料金設定が高めのイタリアンレストランだ。そして、そのようなことを考えていた。


テレビで水泳の中継をやっていたが日本は三位の着順だった。陸上のリレーは期待されていたが水泳のリレーはそこまで技術を必要としないので身体能力のあるチームには負けてしまうのだ。それ以上にユニフォームが無いのでどこのレーンが日本なのかがわからない。応援していたレーンの選手が日本ではなく韓国だった時の失望感を感じさせられながらもレースは進められた。せめて海パンの色だけでも統一してほしいものである。そのような意味では、陸上の方が視覚的にわかりやすい。だから今度は陸上を見ようと思う、ビデオに録画することで。バスケにラグビーと、世界大会をやり過ぎのような気もするが。


夕方頃どうにかテントを設置し終わり、その屋根をくるくると出していると、設置した感を感じることができた。誰であっても、うれしいと思えるように思える、そんな瞬間を、私は感じていた。ネジを巻いていた時に見た空は、秋の空で、もう夏の元気だった雲はない。屋根に突っ張り棒を立てるために、事前に測っておいた高さは、つけたときには間違っていたと気づき、棒の高さを調整させられた。鉄の分厚いポールなので、大変であり、腕がしびれた。バルコニーは右と左で屋根との高さが異なり、ポールの高さを変える必要があった。それは水はけを良くするためなのだと思う、僕は自分のことをアインシュタインのように感じた。彼もプラハに在住していた時に、彼の部屋の壁の高さが異なることに関心を抱いたというエピソードがあった。そのような気づきが今この時代に私に降臨したということだろう、風呂でそんなことを私は考えていた。テントはどうにか設置できた。あとはその機能に期待するだけだった。アイリスオーヤマのブランドを傷つけないような機能に。


散文(批評随筆小説等) バルコニーのテントと水泳 Copyright 番田  2023-09-27 00:49:30
notebook Home