ちょうちょ
soft_machine

 ふんわりあかるい 丘をもちあげ
 かげにかくりと 谷をおる
 ひらひら帰りみち

 みどりのうらで こえをきく
 蜘蛛のこわさや あしたの雨の
 ひろがりについて

 夕陽がおちる
 これで 目がさめないかも
 さめても 嵐はくるのかも

 けれど夏がおわり
 いくつか恋は叶えたし
 蜜をくれる
 花ももういない
 あみを振る子どもたちは
 学校だから
 このまま
 あとすこし
 軽くなる

 そうして 名前を持たない
 ちょうちょという綺麗ないきものが
 つぎの春も 本の頁から
 誰かのノートの片すみに
 舞っている


   ・


 人にきこえない
 はねのおと

 人にみえない
 かぜのいろ

 いのちを染める
 りんぷん


 


自由詩 ちょうちょ Copyright soft_machine 2023-09-23 14:05:39
notebook Home 戻る