こぼれたミルク
花形新次

心残りは
あの人に
思いを告げられなかったこと
今となっては
お互いに歳を重ね
色んな付属物を抱えて
あの頃のような
屈託のない笑顔で
接することも出来ないだろうし
あの人にとっては
迷惑なことでしかないだろう
ただ放課後の教室で
二人きりになったとき
あの人が僕に何かを言いたそうだったこと
その内容も何となく分かっていたこと
僕も同じ思いだったこと
だから僕から言葉を発すれば良かったのに
「じゃあな」一言で帰ってしまった
あの瞬間に逆戻り出来たら・・・・・

こぼれたミルクを嘆かないで

あの人の幸せを
これまでもこれからも
ずっと祈り続けるだけ


自由詩 こぼれたミルク Copyright 花形新次 2023-09-17 20:56:15
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