電話線
リリー

 
 光陰を慕い
 陰光を慕う

 緑の吐息 その悲しみ
 深い山ひだを隠し
 川の流れをむすぶ

 だが その中に
 何を結び得よう?

 あなたの声は
 電話線のむこうに確かに在ったのに
 その距離の果しなさが
 心に痛く響いた

 何もかも遠い
 私さえ遠い

 そこに 舗道の厳しく連なり
 山は緑に突っ立ち
 光は あでやかに
 陰は 沈沈と
 永遠に相結ばれず

 涙が 電話線を伝わらないのが幸せだった



自由詩 電話線 Copyright リリー 2023-09-10 09:05:17
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