思い出すこと 給料日
zenyama太郎

給料日の朝は
女房が珍しく玄関まで見送りながら
「今日はまっすぐに帰ってきてね」
とやさしく声をかける
会社に着くと
いつになく仕事に力が入る
給料袋を渡される時間になると
上司から一人ずつ
「ご苦労様でした」
と声をかけられながら
現金の入った袋を渡される
一月働いてきた手応えを感じる瞬間だ
帰ると女房の機嫌がよい
給料袋を渡すと
押しいただくように受け取る
風呂から出ると
僕の好きな刺身と豚カツも
並べてある
子どもたちの行儀もいい
女房が「ご苦労様でした」といいながら
冷えたビールをついでくれる
ねえ、今夜は早く寝ましょうか
と目配せをする


自由詩 思い出すこと 給料日 Copyright zenyama太郎 2023-09-09 06:44:15
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