At The Zoo ②〜「晩夏のキリン」
リリー

 日陰にもならない
 落陽高木の側、
 石のベンチに腰掛けて居ると

 その 百日紅のピンクは
 枝先に密生して咲き
 暑さに負けることなく僅かの風も 
 逃さない

 少し離れた所に
 麒麟の檻
 柵へ のっそり
 近づいて来た一頭を背にして
 しゃがむ男の子

 ピースサインで決める その子と
 キリンをカメラにおさめようと
 数歩 後ろへ下がる
 若い父親

 「キリンと子供って似合うよね。」
 呟く彼に
 「なんでかなぁ。」
 返してみる一言

 冬、キリン舎の外に木枯らし吹けば
 山から雪雲
 流れくる日もあるだろう
 寒さに弱いキリンは 何を思うんやろうなぁ?

 観客サービスして欲しかったら
 マフラーでも 編んでくれないか 
 なんて、思ったりしないやろうけれど
 口にせずのみこむ戯言

 日翳り 見上げる濃い灰色の雲から
 うわ、落ちてきた!
 午後の雨粒
 
 
 


 


自由詩 At The Zoo ②〜「晩夏のキリン」 Copyright リリー 2023-08-27 17:56:51
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