ヘーグのフェンス 青空
AB(なかほど)
返還された軍用施設跡を覗きに
まだ子供だった僕らはフェンスを越えた
建物はまだ残されていて
バーらしき場所には
ボトルが転がっていた
中途半端に積まれたパレットに腰掛け
足をぶらぶらさせて見上げた空は
たぶん青かった
向うの見えない壁をいくつも越えて来たんだ
よ。と居酒屋で、飲めば毎度のように確認し
ているのに、気付いてみれば、いつでも越え
られるはずのフェンスの向うへ未だに行けな
い。そう、未だに僕の足はぶらぶらしている。
そうこうしているうちに
帰る場所の記憶も薄れてゆく