イカリンコのうた
アラガイs


氷の季節には回虫も動きを止めていた
突然太陽が暴れだしたのでリンコ/僕は逆らうことを諦めた

ゆるせないのは涼しい顔をして腹の虫を肥らせていること
弱虫と見せかけて強い者には抵抗し、さらに弱い者を攻撃するからだ
                           顔がぺしゃりんこ
ガーターを挟んだ少女が懸賞付きの大会でトップに躍り出たよ
世の中は予測不能なたおやかさに展開されて
火薬の匂いが好きだという少女が支配的な大人になれば
風は蝋燭の火を吹き消して服従できたり
街が波の上で跳ねたり

病院の窓の外にやってきたのは羽の青い鳥だろう
室内に飾られた貯金箱は黒い鳥で
昼と夜ではあまりにも見え方が違うので恐怖を感じてしまう
だからといっては金属の時計の針がチクチクと刺激する
これは僕の思い込み
夕焼けが空に包まれたよ

ダイヤモンドは美しい
君の黒いしなやかな髪も綺麗だ
リングは永遠という繋ぎ目で割れている
何もかもがぼやけて見えるので
老人は腹の虫が収まらない
夜の壁を這い回る蜘蛛
底の隙間でじっと見やる蛸
同じ生きものに見えてきたなら
僕らは死滅する














自由詩 イカリンコのうた Copyright アラガイs 2023-08-18 17:55:30
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