月下美人
ミナト 螢

君の声が僕に届く
受話器を少し曇らさせて
その空気を庇った

時間がないような気がして
一度に沢山のことを
話したくなる

僕らはまだ
何も知らないはずなのに
どうして同じ方向を
見ているの

目印さえ
決まらない世界で
ひとりになると
包まれてしまう

隠し切れない不安が
誰かを傷つける前に
君に会えて良かった

ずっとひとりで
生きて来た証は
頑張りすぎて
嫌われてしまうから

その頑なに
結んだリボンに
君が息を吹いて
花びらに変えた


自由詩 月下美人 Copyright ミナト 螢 2023-08-11 19:19:19
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