社会の窓を
AB(なかほど)
君達はすべてのものに、ほんとの社会の窓を
開け放つために生きている。それを抑えつけ
る、真実のない化け物たちに立ち向かい。
ふたつの気持ちが重なって消えてしまうこと
はよくある、よくあることで。ガロイ先輩の
割れないたまご理論と、チブラさんの割れる
たまご理論とのあいだで、僕は、ふたりのた
まごをあたためていた。
それなのに、
i
僕のほうが消えてしまいそうで
i
ふたりとも大好きだったのに
i
見えないのか聞こえないのか、それよりも
i
触れることもできないのか、もう、触れるこ
とも
i
何もかもわからなくなってしまって
i
ふたりには見えてるのかな、聞こえてるのか
な、感じているのかな
i
ふたりの思い出を掛け合わせると、未来では
なく過去になる って声がする
その
i
の中でまだ僕はたまごをあたためている。何
を信じているのか、まだあたためつづけてい
る。あたためつづけている。
もう少しで
i=0 になって
やがて、ようやく、笑えるのかもしれない。
それまでもう少し、もう少し、とあたためて
いる。iの中であたためている。
始まりにはなかった原核生物からシロナガス
クジラまで、生まれ出た僕らが生きてゆく、
この全ての世界へ。
i
君達はすべてのものに、ほんとの社会の窓を
開け放つために生きている。
それを抑えつける真実のない化け物たちよ、
XYZ.