社会の窓を
AB(なかほど)

君達はすべてのものに、ほんとの社会の窓を
開け放つために生きている。それを抑えつけ
る、真実のない化け物たちに立ち向かい。




ふたつの気持ちが重なって消えてしまうこと
はよくある、よくあることで。ガロイ先輩の
割れないたまご理論と、チブラさんの割れる
たまご理論とのあいだで、僕は、ふたりのた
まごをあたためていた。

それなのに、




僕のほうが消えてしまいそうで




ふたりとも大好きだったのに




見えないのか聞こえないのか、それよりも




触れることもできないのか、もう、触れるこ
とも




何もかもわからなくなってしまって




ふたりには見えてるのかな、聞こえてるのか
な、感じているのかな




ふたりの思い出を掛け合わせると、未来では
なく過去になる って声がする

その




の中でまだ僕はたまごをあたためている。何
を信じているのか、まだあたためつづけてい
る。あたためつづけている。



もう少しで


i=0 になって

やがて、ようやく、笑えるのかもしれない。


それまでもう少し、もう少し、とあたためて
いる。iの中であたためている。

始まりにはなかった原核生物からシロナガス
クジラまで、生まれ出た僕らが生きてゆく、
この全ての世界へ。








君達はすべてのものに、ほんとの社会の窓を
開け放つために生きている。
それを抑えつける真実のない化け物たちよ、
XYZ.




   


自由詩 社会の窓を Copyright AB(なかほど) 2023-07-04 11:22:23
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