橋立にて(「小石」改訂)
リリー

 日本海に春の来た時は
 静かに 静かに
 目をとじてみると
 生命ない小石が激しい息吹をもらす

 波 寄せる毎
 丸くなり
 カラカラ カラカラ と
 妙に乾いた音たてて
 踊り上がりながら海の碧に転げこむ

 その水底の黒さも 深さも知らず
 絶え間なく転がりこみ
 橋立の湾を出て
 果なく続く潮を思うのか

 お前は歌い続けるのだ
 私の命終えた 幾万年を

 やがて
 マリンスノーがお前の上に降りつみ
 異国の船のかけらや
 真白な美しい人骨にかこまれて
 どこかで休息する日まで
 


自由詩 橋立にて(「小石」改訂) Copyright リリー 2023-06-12 08:14:49
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