波紋を交わす
塔野夏子

たとえば 言葉で

たとえば 眼差しや微笑みで

きみとわたしが 交わしあうのは 波紋

それはあたかも 夢のように
けれど夢よりも息づくたしかさで

波紋は交わされる

たとえ離れていても
どんなに多くのものに遮られていても

ふたりのあいだには
ひとつの透明な静けさが架けられていて

そこを 波紋はかよいあう

たとえば 言葉で

たとえば 眼差しや微笑みで

そして互いが在るという そのことで

波紋は交わされる
幾重にも幾重にも くりかえし

きみとわたしのほかには
誰も知ることのない感触で


自由詩 波紋を交わす Copyright 塔野夏子 2005-05-11 21:40:52
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