檸檬
soft_machine

 さくらが流れていると
 ぼんやり彼を感じてしまうのは
 何故だろう なんて
 共にして
 また横に
 不意に春のふくらみを介して

 濃いかすみが
 音をあたためる傍らで
 陶然と頸を絡めあう
 老いた皮はさみしく剥かれたり
 動けないはずなのに
 砂漠はしずかに拡がっていて
 子どもらに
 掴まれた耳穴から
 聴こえる何かの羽音が
 まるで歌うようだったね

 雨を嫌う
 青はあんなにも高い
 きっと空気も冷たかろう

 木もれ日からいなくなると
 さくらは散るが
 声はまたもたついた ことばを纏う
 レモン
 読めなくなったらちょっと困る
 けれど
 書けなくても平気





自由詩 檸檬 Copyright soft_machine 2023-04-09 13:38:52
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