黄色の摩訶不思議
坂本瞳子

鮮やかな黄色のマキシスカートを翻して
彼女は微笑んでいた
春が来た
そう感じずにはいられなかった
向日葵ではなく水仙の黄色だ
花言葉はなんだったろうか
思い出せずにいた
そしてなにかが引っかかった
大事なことを忘れているような気がした
あの女性は誰だっただろうか
ああ、あれは黄色ではなく白のミモザ
気をつけなければいけないよ
その果実には毒があるから
緑の指持つあの人はそんなことを言った
あの彼の血は何色だったろうか
眠り心地が良い春の夜は
朝がきたことに気づくことさえできず
ついつい寝過ごしてしまうけれど
悪い夢ならばいっそ
醒めなければいい


自由詩 黄色の摩訶不思議 Copyright 坂本瞳子 2023-04-05 23:22:20
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