ゴルゴ症候群
tonpekep

だったらそうすれば
そう言いたそうな女がいて

ぼくは6910円分の切符を買い
電車に乗ることにした

駅弁はビジネスランチを買った

行き先はきれいなお姉さんが乗った反対の方向に決めた
良い香りがした
けれどもそれはプラットフォームの
光の加減かもしれなかった

ずっと古い海が確かに見えた
そのときぼくは神さまと交尾をしていた

ずっと新しい海ではぼくは海岸の砂であった
ぼくの上では神さまは誰かと交尾していた

精液がぼくの願いと受精したとき
それぞれに時間は産卵したけど

ほとんど悲しい物語ばかり生まれた

ガタンゴトンとレールは
どういうわけかぼくの心臓に延びていた

空は車窓の端っこにしがみついていた
千切れたところから夕くれが始まった

ぼくは強気で下車をする

食い終わった駅弁には一粒の米が残った
米のそばから夜が始まった

夜の中に女がいて
子供のように米粒を
やさしく抱きしめていた


自由詩 ゴルゴ症候群 Copyright tonpekep 2005-05-10 09:01:27
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