朝の光景(改訂)
ひだかたけし

静かに律動する、肉体

朝の冷気に覚醒する、意識

心はゆったり世界の像を映し出す


信号待ち、
赤ん坊を抱っこ紐で胸に支え
片手でスマホを操作する若い母親、
くっきりとした二重瞼が
陽光に映え浮き上がる

今、

わたしの視線は、
アイスコーヒーに浮かぶ
無数の砕氷を追いながら

瞑目する次の瞬間、

過去の瞬間と今の瞬間が重なり
時間軸が溶けてゆく

過ぎ行く時間の流れのなか
記憶は解体され
すべての過去が同時に剥き出される

肉体と意識と魂の静謐な統一、

今、眼前で砕氷が崩れる
今、眼前で二重瞼が輝く

すべて生々しい、現在の光景!

 過去を今、生きる
 今この一瞬に並置される、
 すべての過去!



朝の光景に、

青い天空 私を包む。


自由詩 朝の光景(改訂) Copyright ひだかたけし 2023-03-14 11:13:16
notebook Home 戻る