ニューステージ
nm6




あ、あー、あ。
ニューステージでは、悲しいこともあるよ。


雨振ればバラバラでもう元に戻せない、けれど今日、暗い夜の丸い月の射し込む光、そして負。ぼくらの足音はひどく響いてまったく後ろめたい深夜で、ひとり夏の近づく夜の涼しい思い出と迷子スレスレの散歩をする。今日会うことが出来なかった人へ、この道を照らす蛍光灯の輪郭を忘れないでいようとぼくは思う。


真夜中を意識するための発声練習をするよ。
あ、あー、あ。畳の上のニューステージ。
水蒸気がほのかに躍る夜、またひとつあたらしく遊ぶ。


うさぎたちは白く、うずくまっている。未来の妄想に住むこと遠くてできない。そして嘘。ぼくらの溜息がひどく明け透けなひどく類まれな深夜で、昨日のことのように素っ頓狂な声を出して走ってゆくの。大丈夫の果ての、ぼくの豪語は?いつかの病の、ぼくらの強さの、狂って生まれたの、それ。


ぼくは夜道を照らす蛍を見たことがないのだ。


雨振ればバラバラでもう元に戻せない、けれど今日。未来の妄想に住むこと遠くてできない、けれど今日。畳の上には暗い夜の丸い月の射し込む光が揺らしている。悲しいことがキラキラと止まらない蛇口を眺めている。ニューステージは、きっとすぐそこで、そんなだ。だからせめて、ただ蛍光灯の輪郭を忘れないでいようとぼくは思う。


自由詩 ニューステージ Copyright nm6 2005-05-09 17:01:48
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