イリアスを尋ねて(二)
おぼろん

イリアス・ナディは、バルケスの塔という廃屋に幽閉されていた。
この一か月間、祭祀クーラスはイリアスの存在を隠し続けていた。
しかし、アイソニアの騎士は容易にその姿を現さない。
「アイソニアの騎士との連絡がつけば……」クーラスは呟く。

それに対して、フランキスは傲然として言った。
「イリアスはもう、用済みなのではありませんか?
 ライランテの各地では、ドラゴンたちによる攻撃が続いています。
 今はまだ、各国内でドラゴンたちと戦っている最中ですが……」

「そうだ。魔導士ウィザムたちがドラゴンと共闘し始めた時、
 このライランテの秩序は狂うだろう。しかし、イリアスの存在は貴重だ。
 うまくすれば、アイソニアの騎士を味方につけることも出来る」

「ハッジズに送った書簡はどうするのですか? 彼も無能ではありますまい。
 それに、彼の子であるクレールは、政治の才はないとされています。
 ハッジズは、ドラゴンたちとの戦闘の前線に立つでしょう」


自由詩 イリアスを尋ねて(二) Copyright おぼろん 2023-01-25 22:32:57
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩