いのち在る
ひだかたけし
ちっちゃいな
ちっちゃいね
小さな子供たち、
姉妹
手を繋いで
コンビニのATMの前に
お金引き出す母親を待ち
キョロキョロしながら
立っている
マシンがコーヒーを抽出する間、
僕は二人にふと気付く
あまりに小さく精巧な、
作り物みたいで
眼下の遥かな光景みたく、
ハッとし二人を見る
きっちりマスクしコートに包まれ
彼女たちは立っている
キョロキョロする
その黒々とした四つの瞳、
やがて不思議に一点に注がれ
コーヒーがカップに注がれていく
その様子をただみている
その黒々とした大きな四つの眼、
動かない、動かない
ぼんやりとでもなく注意深くでもなく
その瞳たちはただただ
ひとつの現の光景を
ひたすら写し視ている
現が透明に澄んでいく
僕は二つのいのち存るを
その四つの瞳のひたすらさに
ずんと貫かれ感じ取る
ちっちゃいな
ちっちゃいね
ほんとに生きて
在るんだよ
外は真っ青な
空と街、
世界は
巨きな優しい無関心で
今日も無言の時を刻んでいる