悪い子の夢
soft_machine

 悪い子の夢


これ以上の傷はもういらない
はだしで冬の町を歩かされて出来た
お風呂蓋のくぐりに仕込んだ水の矢
悪い子にお似合い
固まった血の粒を見てみる
生きてる意味がはっきりと解る
もし、また傷つけられたらどうなってしまうだろう
意外とけろっとしてるかも知れないなって

あの人、忘れられたんだ
そう感じられるくらいが丁度いい
太いゆびに触れられ目には見えない跡にさらされ
キャラメルの包み紙をのばしているうち
いつの間にか
どうということもなくなって
ようやく覚える痛みもある
悪役に従う名無しの手下ごっこする子

ことばや文字とずっと喧嘩してきたよ
頼りのバッハにも、いつしか縛められちゃって

どうしても降り止まないものがあるとすれば
それは雨の夢

丘のような 綿のような 石版画風の色彩
屋上に見て 潜むとするそれは ?

すれ違いざま見られた声を隠す
思い出をやり過ごすか迷ってこぼれる白っぽいなみだ
作り手を裏切る 感情の自由
悪い子だけ見る 雨の夢



自由詩 悪い子の夢 Copyright soft_machine 2022-12-08 21:31:01
notebook Home