飢餓
日々野いずる

遅刻して飛び起きて夢の中で時計を見たら遅刻していて飛び起きて時計を見たら遅刻していたから慌てて出かけて飛び起きて、そういうのを悪夢というのだろうけど、不安が体現されて虫になったような、心から祈りが垂れ流されている状態が、誰にも届かないのは。気づいてっておこがましい願いが、気づかれないようにって思って、全世界、全々世界がせまく狭窄した視界の隅にもかからない、そうだよね。仕方ないよ。それでよかった。諦めの感性が夢を見たら遅刻する夢を見る。間に合わないのを悔やむのが君たちでありますように。酷く疲れてつまらなくて、値切られたブリの寿司を買って、珈琲ゼリーを買って、三層ゼリーを買って、全部食べて、あとレトルトの親子丼も食べて、まだお腹が空いている。それを飢餓感ていうのは正しいような、大袈裟なような、でも病名を付けるには不完全で。不完全な病気が頭に蔓延っていて、電子画面がちらちらした。ららららららら。救われないし救えないし、解っているのに、藁を掴むからどんどん溺れていくんだよ。だから手を伸ばす必要なんてある?馬鹿にしてんのか。何も、何も、公共の益にならないから、生きている意味なんてないし、何も生きている意味なんてないし、全人類がなんで生きてんのって明確さ無い。ただ日々暖かくて、ただ日々美味しいものと楽しいことと、美しい陽射しが照らしていて、それに満足することがしあわせって、やっぱり馬鹿にしている


自由詩 飢餓 Copyright 日々野いずる 2022-12-08 21:11:27
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