牙と肢体
ひだかたけし
荒々しい
牙、剥き出す
夜の闇に
わたしは待っている、
再び閃光走るその時を
たましいに沸き立つ、
イメージを
竣立し輝く岩峰を
荒々しい
牙、剥き出す
この夜の闇に
ハナミズキ、揺れている
森の奥深く薄紅色に
貴女はその時訪れる
白い肢体剥き出しに
そして
牙と肢体が噛み合う瞬間、
わたしは優しく開かれる
チーズケーキ食むあなたに
シシシッと笑う昔のお前に
雨降り夕に待ち続けた君に
*
意識の森の奥深く
ハナミズキ、揺れ
薄紅色にただ静まり
その時、私は赦されて
肉から赦され
飛翔する
遠い空へ、聖なる故郷へ
明晰な意識、保ち
呑み込まれることなく
見失われることなく
ひたすらただひたすら共鳴する、
響き渡る故郷の懐かしい脈動に
奏でられる聖なる宇宙の諧音に