牙と肢体
ひだかたけし

荒々しい
牙、剥き出す
夜の闇に

わたしは待っている、
再び閃光走るその時を
たましいに沸き立つ、
イメージを

竣立し輝く岩峰を

荒々しい
牙、剥き出す
この夜の闇に

ハナミズキ、揺れている
森の奥深く薄紅色に

貴女はその時訪れる
白い肢体剥き出しに

そして

牙と肢体が噛み合う瞬間、
わたしは優しく開かれる

チーズケーキ食むあなたに
シシシッと笑う昔のお前に
雨降り夕に待ち続けた君に

  *

意識の森の奥深く
ハナミズキ、揺れ
薄紅色にただ静まり

その時、私は赦されて
肉から赦され
飛翔する

遠い空へ、聖なる故郷へ

明晰な意識、保ち
呑み込まれることなく
見失われることなく

ひたすらただひたすら共鳴する、

響き渡る故郷の懐かしい脈動に
奏でられる聖なる宇宙の諧音に














自由詩 牙と肢体 Copyright ひだかたけし 2022-12-07 17:32:23
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