夏のおわり
soft_machine

一分一秒がおしい
あんなに待った 新学期だもの

かがやき五割増し
教室のノイズ
たったひとつだけ清潔な胸元
あたたかな気持ちと苦しみが告げる
それが夏のおわり

愛おしい
遠くの机で ノートを取る君が
ぼくの膝に遊ぶ
そんな心のしびれを
黒板にぶっつける

たぶん あと少しで
スカートをぱたぱた払いすんだ指で
この視線を受けとめ
すべてがあるべき処に収まるのだろう

思い描ける夢には限界があるって
たった一度の笑顔が
教師の問に応えられない戸惑いが
アーモンド型の瞳
くちびるの傷
透明の翅
すべて大人になる前だもの
最終的に 片想いだもの

夏のおわり
好き と 祈った数なんかで
何も確かめられず



自由詩 夏のおわり Copyright soft_machine 2022-12-05 17:03:02
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