冬の朝
ひだかたけし

頑なな寒さ、訪れ
肉の冷徹、巌の如く

今日は曇天にて
その裸体を曝す一本の立ち木、
通り沿いに在り
擦れ違う人、背を丸め
街の電飾、青く一層輝き

私の意識は今、明晰にして
季節の移り変わりを認め
過ぎゆく時の流れに、
確かな歩を刻む
いずれ苦痛にもがき
混沌と混濁に沈む前に
訪れた静謐な心持ち、
その束の間を深く生きながら
今在る世界の様相、掴み捉える

頑なな寒さ、訪れ
肉の冷徹、巌の如く
冬、到来した朝に、
自らの居住まいを正す。




自由詩 冬の朝 Copyright ひだかたけし 2022-12-05 11:28:45
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