寝返り
たもつ



深夜、兄がやってきて
透明な言葉を吐いた
ご飯を食べるように
一粒一粒吐いていた
寝床を整えてあげると
几帳面に身体を納めた
兄は二十八歳で製薬会社に就職し
寝返りをうった
もういいよ、と伝えたけれど
その後も何度か寝返りをうった
朝は食事もとらずに帰って行った
かわりに白く雪が降った




自由詩 寝返り Copyright たもつ 2022-12-04 16:05:47
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